最期の一瞬まで〝あなたらしさで生ききる″ためのコラム
★『~スプーン一杯にいっぱいの幸せを乗せて~家庭で出来る嚥下(えんげ)食レシピ~』
~こころもからだもあったまるおでんの嚥下食レシピ~
★『在宅へのこだわり~ターミナルケアの現場から~』
『~スプーン一杯にいっぱいの幸せを乗せて~ 家庭で出来る嚥下(えんげ)食レシピ~おでん編』 執筆者 小池佳奈(栄養士)
朝晩、涼しくなってきました。(H28.9.7更新)
日中も、肌がピリピリ焼けそうな暑さではなくなり、
空や雲の様子も静かになってきました。
コンビニではおでんが並び始め…
秋を迎える準備が始まりました!
そこで、第二回目のレシピはおでんです。
関東風、関西風、いろいろありますが、
好きな具をぐつぐつ煮込んで温まりましょう♪
嚥下が困難なかたには
こんにゃくや茹で卵は食べにくいですよね。
でも、こんにゃくは
便秘改善につながる食物繊維が豊富です。
卵も貴重なタンパク源になります。
もちろん、卵を鶏肉や牛スジ、
厚揚げなどに替えてもOKです。
食感は変わりますが、
味を近づけることで少しでも美味しく、
少しでも喜んで頂けたらなと思います。
【材料】
・大根 2cm厚輪切り
・卵 1個
・里芋 1個
・こんにゃく 50g
・はんぺん 100g
・水 250cc
・和風顆粒だし 小さじ2
・しょうゆ 大さじ1
・みりん 小さじ1
嚥下食作りの基本は
だし汁は材料の1/2、
ゲル化剤は全量(材料+だし汁)の1%を
目安に調整してください。
参考までに
右が普通食、左が介護食となります。
【プロフィール】小池 佳奈(こいけ かな)
栄養士
家族の病気がきっかけで、27歳の時に栄養士になろうと決意し、専門学校へ。
栄養学や調理について学ぶ。
保育園での研修を経験するものの、当時は乳幼児の食事を提供するには経験が足りず、与えられた仕事をこなすことで精一杯。
29歳で栄養士免許を取得し、勤務先は老人ホームに決める。
献立作成、発注、食材管理、大量調理、介護食の提供、食事介助などを担当。
調理師、介護士、嘱託医、利用者様との関わりを通して、嚥下食の改善に取り組む。
現在は専業主婦で、2歳になる1児の母。
離乳食や幼児食を作る時にも、当時学んだことを取り入れ、色を使うことを意識している。
【こちらは第一回目のレシピの紹介文です
おでんのレシピと合わせて参考になさってください】
はじめまして!小池佳奈です。
私は、栄養士として6年半、老人ホームで献立作成、調理、介護食作り、食事介助に携わりました。
厨房職員、介護職員、利用者様と関わらせて頂く中で、
わたし自身の理想と実際の現場には大きな違いがあることを知りました。
その中でも特に取り組みたいと思ったのが、『嚥下食』でした。
嚥下食とは、食べ物を噛んだり飲み込んだりする力が弱いかたを対象にした食事のことです。
多くの利用者様から『食事が一番の楽しみ』という声を頂く反面、
実際に提供されているのは『どれも似たような見た目、似たような味』という現実。
食事には“茶色”が多かったのです。
そこで、見た目にも楽しめる食事作りに励みました。
少しの手間を加えることで食事は変わりました。
見た目や味を普通食に近づけることで、食べる意欲を出して頂けることもありました。
今は現場からは離れましたが、
栄養士としての経験が、子育ての中で離乳食や幼児食としても役立っています。
味はもちろん、目でも楽しめる食事。
施設だけでなく、家庭で出来る嚥下食レシピの作り方をお届けします。
*注)嚥下食と介護食の違いは、嚥下力の程度によって分けられます。
介護食は軽度、嚥下食は中度~重度とされています。
第一回目にご紹介するレシピは、名古屋名物『味噌煮込みうどん』です♪
《材料》
・白玉うどん 2/3玉
・鶏肉 50g
・ほうれん草 30g
・にんじん 30g
・かまぼこ 2~3切
・赤味噌
・だし
・みりん
・だし汁
・ゲル化剤
《作り方》
①それぞれの具材にだし汁とゲル化剤を加え、ミキサーにかける。
※だし汁は材料の1/2、ゲル化剤は材料+だし汁の1%を目安にしてください。
②鍋に入れ、ひと煮立ちさせる。
③バットや型に流し、冷やし固める。
④切り分け、盛り付ける。
*ゲル化剤自体に味はないので、それぞれの素材を活かすことができます。
ゲル化剤はネットで購入することができます。
『介護食品 ゲル化剤 トロミ剤』等で検索してみてください。
また、ドラッグストアーで取り扱っているところもあります。
ゲル化剤の代用は、ゼラチンや寒天などでもいい?という質問を頂くこともありますが、
ゼラチンは沸騰させるとたんぱく質が変性して固まりません。
寒天は冷やし固めたものを温めると再び溶けてしまいます。
介護用のゲル化剤は、65度までの加熱なら溶けないので、温かい食事を作ることができるのです。
嚥下食は、舌で滑らかに潰せるムースのような食感です。
水分はむせや誤嚥の原因となるので、介護用のゲル化剤を使用してください。
また、嚥下の状態によってはミキサー食にトロミをつけるほうが安全な場合もあります。
嚥下の段階については、主治医の先生や専門家の方とご相談ください。
茶色の多い食事に彩りを。
食べられるかたの意欲が少しでも出ることを、また、介護をされるかたのお役に立てたら嬉しく思います。
『在宅へのこだわり~ターミナルケアの現場から~』 執筆者 杉江 リカ(アロマセラピスト・看護師)
はじめまして!こんにちは!
アロマセラピスト・看護師の杉江リカです。
皆さんにちょっと質問です。
「訪問アロマ」という言葉を聴かれたことはありますか?
????ですよね・・・
きっと
このコラムを読まれている方の中には、ご存じない方も多くいらっしゃると思いますので、
第一回目の今回は、少し私のお仕事の内容を紹介しながら、なぜ私が訪問アロマを始めたか?
そんな思いからお伝えしてみようと思います。
私が活動しているターミナルケアは、病院、施設、自宅に伺っています。
「住み慣れた我が家で最期の時間を心穏やかに過ごしたい」と願う方、
「人生の終焉をそっと見守りたい」と思うご家族の方に対して、
私に何か出来ることはないだろうか?
そのような強い思いがあり、訪問アロマを始めました。
例えば、
胸が息苦しい、背中、肩が凝っていて痛い、夜眠れない、死が怖いなどの訴えがあった場合、
それらの症状の原因は病気からくる症状であり、心身からの訴えもあります。
私が行うのは
痛い、苦しいと訴えのある部位に手をあて、撫でさする。
いわゆる「手当て」です。
手を肌に当てること。
つまり
「体に触れる」「心に触れる」ことでのコミュニケーションが癒しのひとときに変えてくれます。
同時に、
アロマの香りにより気持ちが落ち着く、前向きになれるなど、
ご利用者様が少しでも笑顔になれる時間をご提供したいと考えております。
先日、訪問させて頂きました80代女性の方は終末期で認知症も進んでおり、
会話でのコミュニケーションが図れない方でした。
でも、手と肌を通しての会話は可能です。
何度も声をかけながらの施術は、かすかな表情で反応を示して下さいます。
是非またもう一度、お会いしたいと思っています。
【プロフィール】杉江 リカ(すぎえ りか)
JAAアロマインストラクター
JAA介護アロマコーディネーター
ベビーマッサージセラピスト
ヘッドスパセラピスト
正看護師
21歳から総合病院などで看護師の経験を積み、37歳の時にアロマの資格を取得。
その後、アロマ講師として講座、セミナー多数
ベビーマッサージ講師、高齢者施設へのアロマケア訪問
思いを込めた「訪問アロマ」の活動では、ご遺族のケア、グリーフケアまで幅広く対応。
アロマスクール&サロン
Aroma Room ネロリ主宰